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【書評】光と物質の不思議な理論(R.P.Feynman)

今回は最近読んだ本を忘れないように感想をまとめておく,書評回にしたいと思います.自分は読みっぱなしのことが多いですが,たまにはまとめておいてログをつけていこうと思います.と言っても,書評というよりは読書感想文に近いと思います. 今回はR.P.Feynmanの「 光と物質の不思...

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2016年9月10日土曜日

【書評】光と物質の不思議な理論(R.P.Feynman)

今回は最近読んだ本を忘れないように感想をまとめておく,書評回にしたいと思います.自分は読みっぱなしのことが多いですが,たまにはまとめておいてログをつけていこうと思います.と言っても,書評というよりは読書感想文に近いと思います.

今回はR.P.Feynmanの「光と物質の不思議な理論−私の量子電磁気学」について書きます.


Feynmanは量子電磁気学の創始者の一人でSchwinger,Tomonagaと共にノーベル賞を取っています.(このような文脈で名前をローマ字で書くのは朝永振一郎氏の「量子力学Ⅰ・Ⅱ」にしたがっている)

創始者自らの解説と言うだけで価値のあるものだが,この本は難解な量子電磁気学を一般の人向けの講演会で行った時のまとめのようである.Feynmanは「LECTURES ON PHYSICS」の著者として有名で,直感的な,しかし本質をついた議論をする.

今回の本も数式に頼ることなく独特な図を用いた議論で光と電子に関する現象をモデル化し,実験結果を再現する過程を分かりやすく記述している.物理をやっていない人が読んでも量子電磁気学とはこんなものかということは分かるであろうし,物理をやっている学生にとっても,普段数式になよりがちな量子論的な議論をイメージを持って取り組めるようになるという点で非常に勉強になる.

Feynmanらしいと思ったのは
「確率振幅を計算している」というよりも「長さの自乗がその事象を起こる確率を表すような矢印を探している」という方が性にあう.
との一節である.すぐに概念を持ち出すのではなく,簡単なものに帰着させるというのは本質をよく理解していないとできないことだと思う.

そもそも私がこの本を読んだのは,学部の量子力学の授業で経路積分について質問になった時,経路積分は数学的には少し難しいがこの本には経路積分の「思想」がよく書かれているとのアドバイスを受けたからであったが,確かに経路積分の思想がよく伝わってきた.光の反射のような身近な話題を経路積分的な発想で解いていた.可能性のあるすべての経路の反射を重ねあわせると,結局反射の法則を満たすような経路以外は打ち消しあって小さくなってしまうというものであった.これは直感に訴えかける見事な説明だと思う.

最終的にはこの本はファインマンダイアグラムを用いてクォークモデルを説明するところまで話が進む.

ファインマンの思想を垣間見る上では入門的な意味で素晴らしい書籍であった.

これからはこんな感じで物理や数学・情報系の本を読んだら読書記録をつけるという意味でこのような投稿をしていきます.

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