D.S.実験大詰め!
どうもこんばんは.サマチャレ6日目です.今日の内容は
- 講義(宇宙論)
- 演習(4日目)
です.いつもと同じ感じですね.今日は宇宙論に関しての話は感想を述べる程度にして演習についてたくさん書きます.
宇宙論の話では,一般相対論の式を使いながら宇宙膨張などの式を前で導出していただいたため,非常にわかりやすかったです.ビッグバン理論の妥当性と問題点を議論した後にその解決方としてインフレーションセオリーについても聞きました.インフレーションはインフレーションでも,old inflationとslow roll inflationの違いや,PLANKの宇宙背景放射のデータのフーリエコンポーネントをとって(全天球なので球面調和関数で展開する)その解析について教えていただきました.また最後には量子重力と宇宙論の関係を教えていただき,変更のEモードとB-モードからこれを予想する方法について聞きました.初めて聞く話が多く,非常に刺激的であるとともに,今後の勉強の課題を新しく得られました.
さて,演習4日目です.私の実験グループはある都合から,今回でダブルスリット実験を終わらし,解析しなくてはなりません.まだ昨日の段階で課題は山積みだったのですが今日できるだけのことをしてみました.
理論をつらつら書いても仕様がないので,軽く説明をします.今までのダブルスリット実験では何度も強調してきた通り光子一個も自分自身と干渉して干渉縞を作りました.ここで,書くスリットに互いに直行する成分を持つ偏光板を挿入します.すると,最終的に観測される光子の偏光状態を調べればどっちのスリットを通ったのか分かってしまいます(ただし実際に光子一個の偏光状態を考えるのは難しいと思います.特に今の実験道具では難しいです).さて,どっちのスリットを通ったのか分かってしまうと,先ほど述べた「両方のスリットを同時に通って自分自身と干渉する」ということが棄却されてしまいます.すると,なんとさっきまでは干渉縞が見えていたのにも関わらず,今度は干渉縞が消えてしまうのです!つまり,光子は干渉しませんでした!
一方で偏光板のついたダブルスリットを通した後に,再び偏光させることを考えます.今回は先に述べたようにダブルスリット通過後の光子は互いに直交しているので,第二の偏光板ではそれら二つの角に対して45度の傾きに偏光するように調整します.つまり,どちらのスリットを通った光子であっても,二枚目の偏光板をとった段階で同じ偏光状態になってしまいます.つまり2枚目の偏光板を通過してしまったら,どちらのスリットをとったのか再び区別できなくなってしまいます.するとどんな観測結果が得られるでしょうか?
そうです.再び干渉縞は現れます.
量子力学に触れたことのない人は混乱するでしょうが,これは量子力学の基礎をなす非常に重要なところです.なぜ干渉縞が消えたりついたりするのかはここでは説明しません.それについてはまたサマチャレが終わってからゆっくり記事を書いていきます.
さて,今回まで行き詰まっていたのは偏光板付きのダブルスリットで実験するといずれの時も干渉縞が観測できなかったところです.
これの原因は主に貼り付けた偏光板がずれていて,各スリットで別の偏光状態になっていたことでした.聞けば簡単なことだと思うかもしれませんが,これは非常に難しいです.スリットは髪の毛の太さもないくらいに細い切れ込みで,ダブルスリットではこれが200μm間隔で並んでいます.これを顕微鏡で見ながら手作業で偏光板を貼っていきます.これは神業です.これを手で作るこの方法を開発したのは今回指導してくださっている先生で,日本で3人しか習得していない技術だそうです.無論,こんなことを不器用な私ができるわけもなく... 同じ実験班の仲間に頼みました(彼の通称は”職人”,本当に神業のような仕事をしてくれます.)私はその間,画像積分器の調整などをしていました.”職人”の凄まじい努力と先生の協力もあって,なんとか干渉縞を得ることができました.いかがそれらの写真と画像です.
これはビームを入射した時(古典論が成立する)の干渉縞です. 500フレーム積分してます.ヒストグラムが綺麗に干渉を示しています. |
シングルフォトンについての干渉縞です.二重に偏光板を通したため, 光量は0.25%にも減少されてしまいます.これを捉えるのには非常に苦労 しましたが,この写真のように綺麗な干渉縞が得られました. |
上の写真はダブルスリットに偏光板をつけた時に
光子が蓄積していく様子です.ランダムに点が生じるのに
干渉縞ができていく様子がよく見えます.
一方こちらは光をビームで入射した時に偏光板を動かすと
スリットの両偏光板に対して45度の角度の時に縞が見え,
どちらかに平行かつもう一方に垂直の時は縞が消えることが確認できます.
明日からはこれらの結果を解析して光子に対する事実を議論して理論との整合性を吟味するのと並行して,フィゾーの光速実験の再現実験をして,光速を測定したいと思います.
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